「連続ドラマW 石つぶて~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~」は毎週日曜夜10時から。第1話無料放送(写真:WOWOW提供)
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 政官界を震撼させた「外務省機密費詐取事件」を追った清武英利氏によるノンフィクション『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社)が連続ドラマとして放送される。

「連続ドラマW 石つぶて~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~」(全8話)が11月5日からWOWOWで放送される。

 警視庁捜査二課の情報係係長に斎見晃明が着任。情報係にはかつて捜査四課時代に斎見と合同捜査をともにした偏屈な刑事・木崎睦人がいた。木崎は情報収集のために通う元国会議員の事務所で、外務省機密費をめぐる贈収賄疑惑をつかむ。巨大な権力の壁に挑む木崎と斎見、やがて政官界を揺るがす大事件に発展する。

 刑事ドラマは数々あるが、実際に起きた事件、特に20年も経っていない生々しい題材をポリティカルフィクションとして描いたドラマは日本では稀だ。

 木崎に扮した佐藤浩市さん、斎見に扮した江口洋介さんに、役柄に懸ける思いを聞いた。

「アメリカだと『大統領の陰謀』が思い浮かびますね。日本ではこうした題材に手をつけることに畏怖心もあってむずかしいと言われる。だけど現代の日本で起こっていることでしょう。誰もが真相を知りたいという気持ちは作り手も一緒だし、それはスタッフも役者も、作品をつくる上での覚悟をもって臨むということだと思う」(佐藤さん)

「僕は歴史的な事件を映画やドラマにして残すべきだと思う。社会派の作品をやるときはそう思えることが多くて。ものが言いたくても言えない世の中で、こういう現実があるんだと。それをどう感じて、どう考えてくれるかですね」(江口さん)

 WOWOWが手がけた清武英利氏原作のドラマは過去にも「連続ドラマW しんがり~山一證券 最後の聖戦~」が反響を呼んだが、ほかにはないWOWOWならではの連続ドラマの醍醐味とは何だろうか。

「この話だけで8本(8話)やるのってホン(脚本)をつくる側は大変ですよ。間に強盗事件が入るわけでもないし。これで見せるんだという覚悟でしょう。WOWOWの場合は、たとえば照明にしてもカメラにしても映画の本編の撮り方だし、自由度と本気度が違う」(佐藤さん)

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