その背後には、存在感を強める創業家の力が見え隠れしているという。

「12月7日には、イトーヨーカ堂創業者・伊藤雅俊名誉会長の次男である伊藤順朗氏が19日付で常務取締役に昇格することが発表されました。順朗氏は、鈴木前会長による井阪セブン-イレブン・ジャパン社長(当時)交代案に反対して、4月の電撃辞任の流れをつくった人物。伊藤家が鈴木家から主導権を取り返した格好です」(前出のジャーナリスト)

 4月に表面化したお家騒動はなおも後を引いているといえる。それだけに、セブン&アイの今後を不安視する声もあがっている。

 同社の利益構造はコンビニ事業中心。祖業であるヨーカ堂を中心としたGMS(総合量販店)が業績の足を引っ張っているにもかかわらず、前経営陣が決めた40店舗の閉鎖計画を前倒す程度で、踏み込んだ改善策は明示されていない。10月には傘下のそごう・西武の3店舗を阪急・阪神ブランドのH2Oリテイリングに譲渡することが発表されたが、こちらも不採算店舗ばかりが残っている。流通アナリストの鈴木孝之プリモリサーチジャパン代表が言う。

「先に百貨店事業に関心を寄せていたのは伊藤雅俊氏。バブル時代から買収を模索していたのです。それだけに、鈴木体制の“負の遺産”を整理することが井阪体制の課題ですが、不採算の百貨店のリストラが思うように進まない可能性もある」
 鈴木家なきあとのセブン&アイの動向に注目が集まる。(ジャーナリスト・田茂井治)

AERA 2017年1月2-9日合併号

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