「天皇制について、人権と制度の均衡を取ることが必要です。若い世代が天皇制をどう捉え、日本国民の総意をどう考えていくか、開かれた議論を行い、考える時期に来ていると思います」
生前退位を実現するには、どんな法改正が必要か。
皇室典範第4条には、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」とある。日本国憲法第2条には、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定められている。
「憲法が皇位の継承は皇室典範によると定めている以上、皇室典範を改正するのが道筋。生前譲位に際し憲法自体の改正が論じられるのは疑問であり、象徴天皇制そのものを揺るがしかねない。特別立法措置は憲法違反の可能性があります」(百地教授)
高作教授も、憲法改正については同様の意見だ。
「皇室典範は国会が改正するものです。天皇の発言後、すぐ政治が動けば、天皇が政治権力を持たないという原則に反するおそれがある。1年程度の時間はかけざるを得ないのでは」
(アエラ編集部)
※AERA 2016年9月12日号