恋愛と結婚をはき違え懊悩する女性は幸いである。その人たちには「童貞」がいる。謙虚でフェミニスト、研究熱心で優しい。乗り遅れるな、童貞婚の新風に。

 オタク夫との出会い→結婚を描いた『59番目のプロポーズ』、オタク男性への恋愛指南書『モタク』の著者のアルテイシアさん(37)によれば、オクテ男子は「4K」、すなわち「謙虚、研究熱心、気遣い、感謝」という美徳があるという。

「オクテ男性は女性と出会う機会がないから、判断材料が美醜しかないだけ。一度好きになったら、長く大切にしてくれる傾向があると思います」

 女性に一方的にしゃべらず聞き上手を心がけ、もてなしの心を常に持つ…関西在住の会社員男性(35)はかつてはアニメ、ゲームオタクのアンチ3次元女性派だったが、『モタク』に登場するアルテイシアさんのアドバイスを実行して結婚にこぎつけた。子どももいる今は趣味をTVゲームではなくボードゲームにして育児にも参加し、妻にメールや電話、プレゼントも欠かさない。

「リア充なら『次がある』と思えるのでしょうが、オクテ男性はそんなこと考えないから一生懸命相手女性をもてなせるようになるんじゃないでしょうか」

 5年前に6歳年上の女性と「童貞婚」した飲食店経営の男性(28)も、「育児でも何でもしてくれる妻を尊敬している」ときっぱり。他の女性とセックスしてみたい気持ちもないではないが、

「自分の素をさらけ出す経験をほとんどしていないし、今の生活を棒に振っても、とまでは思わない。今の奥さん以上の人がいるとも思えないし、そういう人を探すにしてもコストパフォーマンスが悪い。要は効率の問題」

AERA 2013年7月8日号