オートレース振興協会「爆音響かす教え子とPR」オートレース振興協会 広報ユニットチーム長 石澤芳幸(47)撮影/写真部・東川哲也
オートレース振興協会
「爆音響かす教え子とPR」

オートレース振興協会 広報ユニット
チーム長 石澤芳幸(47)
撮影/写真部・東川哲也
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 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

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 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回はオートレース振興協会の「ニッポンの課長」を紹介する。

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■オートレース振興協会 広報ユニット チーム長 石澤芳幸(47)

 最高時速およそ150キロ。エンジン音をとどろかせながら、8人の選手が1周500メートルの楕円形コースを6~10周して速さを競う。公営競技の中で最もスピード感に満ちている。それがオートレースだ。

 その競技としての魅力をどうPRするか石澤芳幸=写真は合成=は、2人の部下といっしょに日々、頭をひねる。

「予算が少ないので、新聞広告の代わりにネットで仕掛けるなど、知恵を絞っています。原稿も自分で書きますし、ポスター作製からイベントの立ち合いまで、何でもやります」

 1993年、敬愛大学経済学部を卒業後、日本小型自動車振興会(現・JKA)に就職。レース開催の日取りに合わせて、選手を全国のレース場へ割り振るなどの業務を行う選手あっせん課(現・あっせん課)に配属された。その後、オートレース選手養成所、業務課などを経験し、2014年にオートレース振興協会に出向して現職に就いた。

 経歴の中で目立つのが、5回配属された選手養成所。10カ月間(現在は9カ月間)の訓練中、朝6時には起床し、競走車の整備から、エンジンの分解・組み立て、走行訓練など教官として選手候補生を指導した。メカに強かったわけではない。エンジンの組み立てなど、配属前に一通り学んだが、最初のうちは候補生に交じって必死に勉強した。

「教え子」の選手の中には、今や人気レーサーとなった元アイドルの森且行もいる。石澤が教えた多くの候補生がトップレーサーとして活躍。過酷な訓練をともに乗り越えてきた仲だからこそ、広報関係の仕事で「ちょっと頼むよ」とフランクに言えるのが財産だ。

 オートレースに限らず、公営競技は娯楽の多様化などもあって採算に苦しむ。3月には船橋オートレース場(千葉県)が廃止され、全国5場に。ファンの獲得は使命でもある。

「迫力あるエンジン音やスピード感を知ってもらえたら、ファンになっていただけると思う。そういうところをどんどんアピールしたい」

(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(編集部・大川恵実)

AERA 2016年4月18日号