「後ろ倒し」で注目された2016年卒大学生の就職活動。ふたを開けてみれば、学生にとっては超売り手市場だった。一方で、採用する側の企業にも例年と異なる傾向が表れた。
今回の就活でも、採用したい「ターゲット大学」を絞り込む企業が依然として多数存在していた。しかし、今年はその傾向に異変があったと、HR総研主任研究員の松岡仁さんは言う。
「過去数年はターゲットを絞り込む企業が多かったのですが、16年卒は主に売り手市場と就活『後ろ倒し』の影響でそれが緩まったのです」
あるサービス系企業の人事担当者は言う。
「例年、金融業界は高学歴層へかなり強いターゲティングを行っています。ですが、今年は日東駒専クラスの学生でも、証券会社数社の内定を複数持っているなんてざら。バッティングの幅が広がって驚きました」
松岡さんによると、多くの企業がターゲットにしているのはMARCHクラス。超有名企業のターゲットの下限であると同時に、中小企業も採用したいと考える層だという。中小企業の多くは「早慶以上は内定を出しても、ブランド志向が強いから入社してくれない」と考えがち。一方、「旧帝大クラスは、プライドが邪魔して泥臭くは動けない」(前出・サービス系企業人事担当者)との声も。バランスのよさがMARCHクラス人気の一因のようだ。