つぶしブロッコリーのオイルソース(撮影/小林キユウ)
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つぶしブロッコリーのオイルソース(撮影/小林キユウ)
麻婆キャベツ春雨(撮影/小林キユウ)
麻婆キャベツ春雨(撮影/小林キユウ)

 手間をかければおいしいのは、わかっているんです。けれども現実は…。だって忙しいんだもの!そんな働く母たちのために、道具も手間も最低限の時短レシピを、和食の達人の冨田ただすけさんに聞いてきました。帰宅後、20分弱でできるという簡単レシピをご覧あれ。

 まずは「つぶしブロッコリーのオイルソース」。緑黄色野菜という時点でかなりポイントが高い。「冷凍コーンって野菜に入るよね、ねっ?」と確認しあうワーママ界の野菜不足コンプレックスを知ってのことか? 

 調理法も簡単。ブロッコリーはとにかく柔らかくすればいいので鍋で放置。ゆであがったらスプーンでつぶすため包丁も不要だ。にんにくとアンチョビでジェノベーゼのような風味。つぶし加減によってソースっぽくも、おかずっぽくもなる。

「密閉容器でオリーブオイルに浸るようにしておけば冷蔵庫で2、3日もちます。クラッカーにのせたり、焼いた白身魚にかけたり、じゃがいもなどの蒸し野菜やパスタとあえたりと自由にアレンジできます」(冨田さん)

 冷蔵庫にこれさえあれば、クラッカーに塗って飢えた猛獣たちにサッと与えられる。

 続いて、メインになる「麻婆キャベツ春雨」。これまたレシピを見ると、包丁の出番がないではないか。キャベツと絹さやは手でちぎる。春雨は戻さずにフライパンに入れ、上からキャベツをかぶせて蒸し煮するという時短作戦だ。にんじん、きのこ、もやしなど冷蔵庫にある野菜を適当に加えてもいい。

「煮ている間に調味料を合わせましょう」

 ここで冨田さんの矜持が垣間見えた。中華スープなどの化学調味料は使わず、紹興酒やオイスターソースなど9種類の調味料を合わせる。種類が多い印象だが、いずれも中華料理ではよく使う調味料なので、幸い我が家にも在庫はある。

「にんにくはチューブでもいいですが、できればしょうがは生のほうが香りが立ちます。煮ている間にフライパンの上に直接すりおろしてください」

 中華料理といえば、調味料を合わせるのを忘れて火を入れたら最後、急いでいるときほど失敗しやすいものだが、これなら同時進行で手堅く進められる。マルチタスクが得意だと自称するワーママにはぴったりだ。

■つぶしブロッコリーのオイルソース
材料[2人分]
ブロッコリー…2分の1株 オリーブオイル…大さじ5 アンチョビペースト…小さじ 2分の1 にんにく(すりおろし)… 3分の1片分 塩…小さじ2分の1

(1) ブロッコリーは小房に分け、鍋に水500mlを沸かして、塩大さじ1(分量外)を加えて8~10分ゆでる。
(2) ブロッコリーをざるに上げてしっかり水気を切り、ボウルに移す。
(3) スプーンなどでブロッコリーを細かくつぶし、Aを加えて混ぜ合わせる。

■麻婆キャベツ春雨
材料[2人分]
キャベツ…4分の1玉 絹さや…6枚 豚ひき肉…150g 緑豆春雨…30g 赤唐辛子(輪切り)…少々(好みで) ごま油…大さじ 2分の1
[A]
しょうが(すりおろし)…1片分 にんにく(すりおろし)…2分の1片分
[B]
濃口醤油…大さじ1と2分の1 紹興酒(または酒)…大さじ1と2分の1 片栗粉…小さじ4 オイスターソース…小さじ2 ごま油…小さじ1 塩…小さじ3分の1 こしょう…少々

(1) キャベツは芯を除いて手で食べやすい大きさにちぎる。絹さやは手でヘタと筋を除く。
(2) フライパンにごま油を入れて中火で熱し、ひき肉と赤唐辛子を炒める。肉がほぐれて色が変わったら、塩、こしょう各少々(分量外)で下味をつける。
(3) (2)に水400mlを加えて沸かし、春雨を入れ、キャベツを上に広げる。ふたをして5分ほどグツグツと煮る。途中でふたを開けて絹さやを入れ、Aをフライパンの上ですりおろして加えて混ぜ合わせる。
(4) 具材がやわらかくなったら、よく溶いたBを加えて火を強め、すぐに混ぜ合わせ、味ととろみをつける。

AERA 2015年3月9日号より抜粋