昭和女子大学で、留学生を対象に開催される多分化協働プロジェクトの授業。日本文化の体験では、日本人学生が外国人留学生をサポートする(写真:昭和女子大学提供)
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昭和女子大学で、留学生を対象に開催される多分化協働プロジェクトの授業。日本文化の体験では、日本人学生が外国人留学生をサポートする(写真:昭和女子大学提供)
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 女の涙も、同性だからこそ、ビシッと叱れる。女子大ならではの女性リーダー教育が注目を集めている。

 待機中は緊張したのに、本番はわくわくするほど楽しかった。昭和女子大学の高口ゆかりさん(人間文化学部3年)ら4人のチームは、昨年、文部科学省が主催する「グローバル人材育成フォーラム」のリサーチ・プレゼンテーション大会に出場、「グローバル社会における開発と貧困」をテーマに、日本の青少年が発展途上国の母親に小口融資を行うアイデアを英語でプレゼンした。決勝では国立難関大を含む7チームと競い合い、3位に入賞。4人はそれぞれに得意分野が異なり、高口さんはそのまとめ役を務めた。

「人と人をつなげて能力を高めることが求められるのなら、社会に出てからリーダーを目指してみたい」(高口さん)

 坂東眞理子学長は、今求められるリーダー像は従来のそれとは異なるという。

「男性的な『おれについて来い』タイプは時代遅れ。チームワークで行動し、一緒に成長できる人が望ましい。女性は困っている人を助けたい、人の役に立ちたいという精神が強い。その気持ちをリーダーとして生かすことができると思う」

 内閣府は、社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標を設定。閣議決定された。

「女性がリーダーとして活躍する枠組みはできた。あと必要なのは、女性の覚悟とスキルです」(坂東学長)

 大切なのは、小さな成功体験の積み重ねだという。米ボストンにキャンパスを持つ同大では、多国籍の学生とワークショップを実践。昨年10月には、ボストンで開催されたビジネスコンペでベストマーケティングプラン賞を受賞した。

「女子大は、将来のモデルとなる同性の教員が多い。本学は50%以上が女性教員で、学会で発表したり、マスメディアで活躍したりする姿を見て触発される学生も多い」(同)

 女性教員は、男性教員よりも厳しく女子大生を育てる傾向が強いという。学生が泣き出すと、男性教員の指導はストップするが、女性教員は「そこは泣くところではない」と一蹴し、指導を続行する。

 帝国データバンクによる、女性社長出身女子大トップは、日本女子大学の184人(14年)。全大学中でも5位だった。

「女子だけの集団に意義がある。サークルや学園祭は、男子学生中心になりがちですが、女子大はすべて自分たちでやる。本学附属の小中高は幼少時からの一貫教育で、自分たちでやりとげる習慣が身についており、それが大学からの入学生と刺激し合って自主自立の文化が生まれています」(大場昌子副学長)

AERA  2015年1月26日号より抜粋