ここまでの話が過去形なのは、こうした「駐在」像がすでに過去のものだからだ。
「妻たちに“気負い”がなくなった」と話すのはベルギーから2年前に帰国した兵庫県在住の専業主婦(43)。15年前にも5年ほど、メーカー勤務の夫と米国に駐在していた。
「1度目のときは下っ端で、上司の奥さんの運転手状態でした。ただ2度目は、赴任前から気軽なムード。偉い人の奥さんほど堅苦しいことを避けていたように思います」
会社の人間関係に縛られることが少なくなったというのだ。駐妻は、大きな変化にさらされている。
この女性によれば変化の要因は、「ゴマすりだけで出世できる甘い時代は終わったからでは。ネットで情報収集できるので、先輩妻を頼る必要もない。海外生活者自体珍しくなくなったので、駐在経験を生かしたサロンなんて成り立ちません」
※AERA 2015年1月19日号より抜粋