アベノミクス発動2年目。まだ景気回復の実感にはほど遠い……。いや、意外なところに回復の兆しは表れていた。コンビニのあのコーナーに。
「景気がいい時は男性上位のジャンルが、悪い時は女性上位のジャンルが売れる」
成人男性向け雑誌、いわゆるエロ本の業界にはこんな「定説」があるという。男性上位とは女子校生やロリコンものなど、登場する女性が若い、あるいは男性が積極的に攻めるタイプのもので、女性上位とは逆に熟女ものなど女性が男性を癒やしてくれるタイプのもの。景気の動向に男性の「元気」が連動して、売れ筋のジャンルが変わる、というのだ。
大手コンビニチェーンの担当者は、「景気が悪くなれば売り上げが悪くなるとは言えますが、どのジャンルが伸びるといった傾向はないですね」とあっさり。だが、成人向け雑誌を多く扱う大洋図書第二編集局次長の米山英男さんは、「確かにコンビニでの売れ行きは景気や社会情勢を反映している気がします」と説明する。
景気がわずかながら上向き傾向にあった小泉政権の中~後半までは、コンビニで売れる成人向け雑誌は女子校生、ロリコンものが主流だったと米山さんは振り返る。ところがここ数年、コンビニのエロ本コーナーを「人妻」ものが席巻。2008年のリーマン・ショックを経て景気が低落し、09年に鳩山政権が誕生して以降は「人妻ものにあらずんばエロ本にあらず」というところまで進んだ。とりわけ、四十路、五十路モノがよく売れた。まさに景気とジャンルの盛衰が連動している。