写真はイメージ(撮影/写真部・関口達朗)
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高支持率を背景に、次々安倍カラーの政策実現に向けて加速する安倍政権。高支持率を支えるのはネット世代とも言われるが、
実は2千万もいるロスジェネは政治そのものに背を向け始めている。
(編集部・太田匡彦)

 自分が知る限り、地元で賛成している人はひとりもいない。

「なんで、そんなことができちゃうんだろう」

 宮城県南三陸町が拠点の一般社団法人「復興応援団」代表理事、佐野哲史さん(39)は粛々と進む防潮堤計画をそう嘆く。

 震災復興支援に携わるようになったのは、2007年7月の新潟県中越沖地震からだ。直前まで、民主党の若者対策の全国キャラバンで、運営責任者のひとりとして活動していた。社会や国をよくするために、若者と政治を結ぶ「懸け橋」に──そんな思いでキャンペーン運営を受託するかたちで携わっていた。

 慶應義塾大学在学中の1997年には、信頼できる政治家を当選させるためのNPO法人「ステイツマン」を立ち上げている。佐野さんは、ロストジェネレーションと呼ばれる同世代の政治参加を促す「仕掛け人」の一人だった。それがなぜ、政治とかかわりが薄い分野に活動の場を移したのか。転機になった07年7月をこう振り返る。

「07年の参院選で民主党のキャンペーンをやったが、俺たちは本当に社会の役に立てたのか? そんな疑問が募った」

 疑問の先に、社会や地域にある課題を住民と一緒に直接解決する、という答えを見いだした。東日本大震災後の11年8月、被災地で復興応援団を立ち上げた。いま被災地の交流人口拡大を目指して、首都圏からのボランティアツアーなどを仕掛ける。復興の最前線に身を置いていると、政治への「無関心」が自分の中に広がるのを感じる。

「以前は意識的に政治とリンクを張ってきたが、いまは南三陸町の防潮堤のように政治が作る制度と現実の乖離が激しくて、もう政治とリンクする気持ちを持てなくなった。自分たちで解決手段を模索するようになっています」

 72~82年に生まれ、バブル崩壊後に社会に出たロスジェネ。約2千万もの人口を抱えるこの世代は05年の小泉郵政選挙や09年の政権交代選挙などで存在感を示してきた。ところがここにきて、政治参加のうねりが急速に後退しつつある。

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