「35歳限界説」はもはや過去のもの。企業がいま欲しているのは、スキルをすぐに生かせる35歳以上の即戦力。40代からでも異業種で夢を実現できる。そんな時代がやってきた(撮影/写真部・東川哲也)
「35歳限界説」はもはや過去のもの。企業がいま欲しているのは、スキルをすぐに生かせる35歳以上の即戦力。40代からでも異業種で夢を実現できる。そんな時代がやってきた(撮影/写真部・東川哲也)
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 転職市場では若いうちの方が有利だと思いがち。しかし実は今、40代、50代の人材のニーズが高まっているという。実際、三菱商事や日本IBMといった大手企業でもそういった年齢層の人材採用を積極的に行っている。

 では、40代の転職では何が成功の決め手になるのか。カギのひとつは、自分は何がしたいのかだ。

 12年6月、自動車部品メーカー「ナゴヤパッキング製造(NPC)」に転職した木下誠司さん(49)は、これまでメーカー2社を経験し、個人のコンサルタントとしても活躍するなかで、品質保証や生産管理の分野で自身を磨いてきた。

「自分の能力をもっと試せて、より必要としてくれるところ」を求めていたところ、人材バンク経由でNPCに出合った。同社が、中小企業からグローバルカンパニーへと転換を図ろうとしているタイミングだった。NPCは国内外に四つの製造拠点を持つ。木下さんが品質保証部の課長として勤務することになったのは岐阜県の養老工場。ここを中心に品質保証のレベルを世界水準に引き上げ、4工場で共通化していく役割を託された。

 転職して1年半あまり。養老工場の部品の品質は目に見えて向上した。2月、木下さんは初めてタイの製造拠点に入る。

「やることの本質はどこでも同じ。顧客や従業員とコミュニケーションをはかって、相手の考えを的確にくみとり、納得できる解決策を提示する。年収は良かった時期より3割減ったが、海外でもそれができることが楽しみで仕方ない」

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