BMWの新車発表会。手前の新型電気自動車「i3」は499万円(消費税8%込み)、奥のプラグインハイブリッド・スポーツカー「i8」は1917万円(同)(撮影/小暮誠)
BMWの新車発表会。手前の新型電気自動車「i3」は499万円(消費税8%込み)、奥のプラグインハイブリッド・スポーツカー「i8」は1917万円(同)(撮影/小暮誠)
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 BMWが13日、東京・六本木のイベントホールを貸し切って開いた新車発表会は、3時間にも及んだ。ドイツから技術やデザイン、製造部門の責任者が駆けつけ、車体に使っている炭素繊維や、軽量化した部品なども本国から持ち込んだ。

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 欧州の自動車メーカーが、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などを相次いで発表している。9月の独フランクフルトモーターショーには、それらがずらりと並んだ。欧州勢がこれほどEVやPHVに熱心なのは、2015年、20年と、欧州域内の環境規制が、段階的に厳しくなるためで、15年に照準を合わせた新型車が、ここにきて市場に出始めたというわけだ。

 しかし、欧州の自動車市場はリーマン・ショックのあった08年以降、5年連続で前年割れが続いている。そこで欧州勢が目をつけたのが、ハイブリッド車(HV)がいち早く普及した日本市場。今年、日本国内で売れた車のうち、軽自動車を除けば輸入車の比率は1割に迫り、過去最高になりそうだ。

 欧州勢の鼻息は荒いが、悩ましい問題もある。現状では期待するほど、日本市場がEVに有利な市場とは言えないのだ。

 09年に「アイ・ミーブ」を発売した三菱自動車のEV国内販売は、累計で約1万4千台。10年に「リーフ」を出した日産自動車も、約3万台の販売にとどまる。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は、EVの不振の最大の理由を、走行可能な距離の短さにあるとみる。満タンに充電しても、150~200キロほどしか走れず、安心して乗れない。

 三菱自動車の益子修社長は、そうした状況を、欧州勢のEV、PHV参入が変えるかもしれないと期待する。EVに参入するメーカーが増えれば、急速充電する機器などのインフラ整備が進むかもしれないからだ。

「ようやく私たちが言っていた(EVが環境車の本命という)ことを、理解し始めたのかな」(益子社長)

AERA 2013年11月25日号より抜粋