待機児童ゼロを宣言した横浜市の林文子市長。しかし市長は一方で、「希望通りの保育所に入所できていない方は1746人」とも話している。これはどういうことなのか。

 希望の保育所に入れていない1746人の児童のことを横浜市では「保留児童」と呼んでいる。保留児童のうち、市が助成している認可外「横浜保育室」や一時保育などに入れたのは877人いる。

 ここからが数字の「マジック」だ。4月1日時点で育児休業中だった203人、主に自宅で求職活動をしている人100人、特定保育園のみの申込者などの566人は、横浜保育室などに入所した877人と同様、「待機児童」としてカウントされていない。

 こんな例もある。この4月に緑区内の企業立の保育園に入園が決まったAさんの子どもには、アレルギーがある。その保育園はアレルギー対応をうたっていたが、実際には入園から2週間の間だけで4回も重篤なアレルギー反応が出て、投薬を余儀なくされた。加えて園長から「発達障害の可能性があるから、対応できない」と言われ、退園せざるを得なくなったという。

 納得がいかないAさんは公立保育園に限っての転園を希望しているが、「入所不承諾」の通知が来たという。

「横浜市長が待機児童ゼロと自慢げに語っているのを見ると、本当に腹立たしい。公立に限って申し込んでいるため、私の子どもは横浜市の規定では待機児童ではなく、保留児童だそうです。まったく納得いきません」

AERA 2013年7月8日号