加藤厚労相は2月20日の会見で、屋内で参加者同士の距離が近いような催しは中止や延期を検討するよう要請した。

「イベントなどの主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況などを踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。なお、イベントなどの開催について、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありません。開催にあたっては、感染機会を減らすための工夫を講じていただきたい。例えば、参加者への手洗いの推奨やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をすることなど、感染拡大の防止に向けた対策の準備をしていただきたい」

 一律ではないとしつつも、事実上の自粛呼びかけだ。すでにスポーツ大会やコンサートの中止や延期、規模縮小が相次いでおり、イベントの中止がさらに出てきそうだ。人混みを避けるため、時差通勤やテレワークも促していくという。

 加藤厚労相は今後の展開によっては、夏の東京五輪・パラリンピックの開催に影響がでる可能性も否定しなかった。

「イベントの開催に対して、段階段階によって求めていくことは異なっていく。国内での感染状況をみながら、適切なメッセージを発信していきたい」

 こうした厳しい状況にもかかわらず、政府の対応のまずさが発覚している。

 小泉進次郎環境相と森雅子法相、萩生田光一文部科学相が、新型コロナウイルス感染症対策本部の2月16日の会議を欠席。地元での新年会などに出席していたことが、国会の審議でわかった。3閣僚が重要な公務よりも私的会合を含む政務を優先したことは、与党内からも疑問の声が上がる。

 野党側は3閣僚について、2月20日の衆院予算委員会で、国民へのおわびはしないのかと追及。3閣僚は、「危機管理上のルールにのっとった対応だった」などとして、明確な謝罪はしなかった。

 菅義偉官房長官は同委員会で3閣僚を指導するよう求められたが、「常に緊張感を持って対応すべきだ」と述べるにとどめた。

 政府が対応の失敗を率直に認めない姿勢では、国民の信頼は得られにくい。新型コロナウイルス感染症対策本部長は安倍晋三首相。信頼回復にどう取り組むのだろうか。
(本誌・多田敏男、池田正史)
※週刊朝日オンライン限定記事

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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