岩田さんは20日にこの動画を削除。本人のツイッターには、「ご迷惑をおかけした方には心よりお詫び申し上げます」と書き込んだ。
岩田さんの投稿を巡っては、政府は対策は適切だったと主張。知人の医師らも対策は取られていたとする意見を表明していた。ネット上では、岩田さんを応援するような意見がある一方で、中傷するような意見も飛び交った。
岩田さんは同日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)でネットを通じ会見した。感染のリスクが存在していたという主張に変わりはないとしつつ、次のように説明した。
「船内の対策が向上し、データも公表され、環境が改善されたことがわかった。私は誰か特定の個人を批判するのが目的ではなく、誤解されないように削除した」
クルーズ船からは乗客の下船が始まっている。岩田さんは会見で、船内では二次感染のリスクがあったと指摘。下船した人にも14日間はモニタリングを続け、乗客は人との接触をできるだけ避けることが必要だとした。
岩田さんは船内に2時間ほどしかおらず、下船させられたと主張している。これに関し、橋本岳厚生労働副大臣はツイッターに2月19日、現場責任者の私が知らないうちに“侵入”した医師がいたので退去してもらったと書き込んだ。
橋本副大臣は2月20日にもツイッターで、感染対策は適切だったと岩田さんに反論。区域管理(ゾーニング)もできていたとして、船内の写真をアップし次のように書き込んだ。
「ちなみに、現地はこんな感じ。画像では字が読みにくいですが、左手が清潔ルート、右手が不潔ルートです」
ところがこの投稿はすぐに削除された。写真では両方のルート先の部屋がつながっていて、区域管理が適切に行われているかどうかわからなかった。橋本副大臣が船内にスマホなどを持ち込み撮影した可能性について、疑問を示す意見も出ている。
厚労省は2月20日に、船内の感染防止策を取ってきたとする文章をホームページに掲示。英語の説明文もアップしており、岩田さんの主張に反論するものとなっている。米紙ウォールストリート・ジャーナルが「船内隔離は失敗」と報じるなど、高まる国際的批判を和らげようとする狙いがありそうだ。