北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
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イラスト/田房永子
イラスト/田房永子

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は「嘘」が発端となる社会の空気について、筆をとる。

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 ここ数日で、突如として卑猥(ひわい)な言葉にしか聞こえなくなってしまった「コネクティングルーム」。和泉洋人首相補佐官と、厚生労働省の大坪寛子官房審議官のせいである。

 インドでも、ミャンマーでも、フィリピンでも、中国でも、二人は出張の際にはコネクティングルームを使用してきた。その理由を大坪氏は、「和泉補佐官が体調を崩していたので、医師免許をもつ私が隣室で待機した」と国会で答弁した。

 横浜港のクルーズ船のコロナウイルスについて報告したのも大坪氏だが、「感染者が増えています」とマイクで語るときと全く変わらない堂々とした無表情で「(不倫ではなく)医療行為でした」と答えられる太さは衝撃だ。税金を私物化するんじゃねーよ!!という怒りから空気がシューッと強制排出させられるような無力感やら、滑稽と不気味がいりまじった不可解な感情やらに、攪乱(かくらん)される。

 嘘をつき通すことに慣れている人の冷静、傍からみればかなりの滑稽を、卑猥というのだと思う。卑猥とは、「いやしくてみだらなこと」(広辞苑)である。

 12日、聖マリアンナ医科大の性差別入試に対する抗議集会が参議院議員会館で開かれた。東京医科大、順天堂大、昭和大の3校を訴えている弁護団の白日光弁護士の話が印象に残った。加害者3校の対応はそれぞれ微妙に違うのだが、どの大学も共通していることがあるという。それが今の社会の空気そのものを反映しているのだと、白弁護士は言った。

「最初はやってないと嘘をつく。嘘がばれると開き直る。さらに追及すると逆切れする。こういう医大の対応は、今の社会の空気を映している」

 まさに、自らの悪行を煙に巻くための3段階。それは今の政府が私たちに見せ続けてきた姿勢だ。大坪氏は今、「医療行為のためのコネクティングルーム」という開き直りの第二ステップにいるわけだけど、さらに追い詰めたら、どう逆切れするだろう。きちんと追い詰めて、彼氏と共に公職から去ってほしい。

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