それに、安倍首相の後援会のメンバー約800人が、前夜にホテルニューオータニの夕食会に参加しているが、同ホテルの立食のパーティープランは1人1万1千円からなのに、このときは5千円であった。安倍事務所が差額を負担しているのではないか、と野党が追及すると、安倍首相は、招待者の大多数がホテルの宿泊者なのでホテル側が価格を安くしたのだろう、と説明した。そして客の一人ひとりが5千円を支払い、ホテル側が領収書も出していて、安倍事務所は金銭的に関わっていないので収支報告書にも記載していないのだという。野党がホテル側に明細書を出すように求めたが、ホテル側は「お客様のプライバシーに関わる」という理由で提出を拒んだ。ということは、安倍事務所が求めれば、ホテル側が拒む理由はなくなるのだが、安倍首相にその気持ちはないようだ。

 かつての自民党ならば、共産党が糾明するはるか以前に、内部チェックによって止められていたはずだ。なぜ、党幹部の誰もチェックしようとしなかったのか。党幹部たちに問うと、誰もが「田原さんに言われればそのとおりなのですがね」と言って、反論も弁明もしなかった。安倍内閣が長く続きすぎて、党議員たちの神経がたるみきってしまった、ということなのか。そして、このような出来事が起きながら、安倍内閣の支持率が落ちないのはなぜなのか。

 もう一度言うが、あってはならない出来事である。森友・加計疑惑のときと同様、安倍内閣は悪運が強いと見るべきなのだろうか。

週刊朝日  2020年2月21日号

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