89年に国営公園整備事業として復元整備が始まり、今年1月、30年に及んだ工事が終了。そのひと月前には2年3カ月かけた正殿の漆の塗り直しが完了し、まばゆい朱色が復活したばかりだった。
「(正殿は)木造であったことに加えて、上に塗られた漆は油の成分を含んでいるので燃えやすい建物だったと思います」
再建はできるのか。
「最大の問題は巨額の費用」
と上里さんは言いつつ、もう一つ問題があると続ける。
「建築部材です。特に正殿は木材で完全再現されていたので、何万本もの大きな木が必要。前回の復元では国内で調達できず、台湾から調達していましたが、今回はそれができるかどうか。もしかしたら、(数年での短期の復元ではなく)長い時間をかけて、調達できるところからコツコツやっていくという選択肢もあるかもしれません」
沖縄文化の象徴をどう取り戻していくのか。官民の協力が欠かせない。(本誌・緒方麦)
※週刊朝日 2019年11月15日号
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