日本を代表するイラストレーターの和田誠さんが今月7日、83歳で死去した。妻は明るいキャラクターで人気の料理愛好家・平野レミさんで、和田さんはレミさんを見守る“愛妻家”として多くの逸話を持っていた。
二人の出会いは、和田さんがラジオでレミさんの声を聞き「一目ぼれした」ことがきっかけだったという。2014年に週刊朝日で行われた夫婦対談から、二人の“なれそめ”を再録して紹介する。
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和田:そう、久米宏とやっていた番組。
平野:久米さんと知り合いだったから頼んだんでしょ。
和田:でも「一緒にやってる子を紹介してよ」って言ったら、久米さんが「やめときなさい」って言うんだ。
平野:ワッハッハ。
和田:しゃあないなって、知り合いのディレクターに頼んだの。そしたら今度は「紹介してもいいけど、責任持ちませんよ」って(笑)。
平野:みんな私のことダメな人って思って紹介しなかった。ね、和田さん、私のどこがよかったの?
和田:前に言っただろ。ラジオの前にテレビ番組を見たの。生放送でピアノの前で一人で歌ってたんだけど、歌い始めたらすぐやめてやり直したんだ。
平野:声が出なかったから。
和田:そういうふうには思えなかったんだよ。それで「こういう歌手は珍しいな」と思った。生放送で急に「ストップ」とか言ってね。
平野:じゃあ、珍しい人が好きだったんだ?
和田:いや単に珍しいだけじゃなくて、それがなかなかチャーミングだったのさ。
平野:(大声で)あらちょっとお父さん! 40年で初めてそんな言葉聞いた! 私がチャーミングなんて!
和田:うん。しぐさとか言い方とかね。おもしろい子だなと思ったんだね。
平野:へえ~~~。
和田:それで「責任持たなくてもいいから」って言って紹介してもらったんですよ。TBSの地下のしゃぶしゃぶの店で飯を食った。そしたら料理を運んできた仲居さんに、この人、「この付けるタレ、何でできてるの?」って聞いたんだ。で、この人は料理ができる人だ、この人の料理はうまそうだなと思ったんですよ。