早稲田大学 (c)朝日新聞社
早稲田大学 (c)朝日新聞社
早慶主要文系学部での偏差値比較 (週刊朝日2019年10月18日号より)
早慶主要文系学部での偏差値比較 (週刊朝日2019年10月18日号より)
日東駒専のW合格者の進学先 (週刊朝日2019年10月18日号より)
日東駒専のW合格者の進学先 (週刊朝日2019年10月18日号より)
新しい大学グループはこれだ (週刊朝日2019年10月18日号より)
新しい大学グループはこれだ (週刊朝日2019年10月18日号より)

 大学激変の時代に入った。少子化が進む中で、各大学では学生獲得に向けた改革が進む。主に偏差値を基準にした大学の序列にも変化が起きている。今後は偏差値が機能しなくなり、大学の特色から受験先を選ぶ時代もやってくると言われる。令和の大学序列の新潮流を緊急リポートする。

【表で見る】早慶主要文系学部での偏差値比較はこちら

■平成は慶應の時代、令和は早稲田の時代 偏差値の序列も激変! GMARCHも過去に

「以前は慶應のほうが人気でしたが、今はむしろ早稲田。これからの人材を育てようとする早稲田の姿勢は印象がいい」

 こう話すのは今年、早稲田大の政治経済学部に入学した男子学生(19)だ。慶應義塾大法学部にダブル合格したが、早稲田を選んだ。

 何かと比較される早稲田大と慶應大。近年は慶應ブランドが常に圧勝してきた印象が強い。各方面で慶應のOB・OG組織「三田会」が影響力を高め、偏差値でも慶應大が上だった。しかし、ここにきて形勢逆転の兆しが見えているのだ。

「平成は慶應の時代でしたが、令和は早稲田の時代になるのでは」

 と予測するのは、大学通信常務の安田賢治さんだ。

 その根拠を具体的に示していこう。2019年度入試での偏差値で早稲田大が偏差値70を維持する一方、慶應大の政治学科や経済学部、商学部で偏差値が下がった。この傾向は最新の9月時点でも続いている。

 志願者数でも慶應大は2年連続で前年割れ。大学通信の調べでは、今年の志願者数は約4万1千人で、平成で最も少なかった。

 早稲田大は多方面で改革を進める。04年に国際教養学部をつくり、人気学部に成長。昨年、大学改革を掲げた田中愛治教授が新総長に就任したことも話題になった。これからの時代は数字を扱える必要があるという意識から、21年度入試から政治経済学部に数学を導入する予定だ。こうした改革の姿勢が実を結びつつあり、学内の雰囲気も明るくなったと評判だ。

 安田さんはこう見る。

「高校の先生にグローバル教育に力を入れる大学を尋ねたアンケートでは、早稲田大は上位に入るが、慶應はかなり下がる。入試も早稲田が改革を打ち出す一方、慶應は静観の構え。早稲田の姿勢のほうが受験生や高校の先生に届いている」

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ