「平成の30年間に、日本の国際競争力は1位から30位に落ちた」。それは「ユニコーン」、つまり評価額が10億ドル以上の未上場企業、要するに新たな事業を起こす企業が世界には380社あり、米国には200社弱、中国には100社弱あるのに、日本には3社しかないためだ、という。
「製造業のウェートはGDPで2割、雇用は17%しかない。そして、この割合はどんどん下がる。だから新しい産業を生み出す以外にないのだが、日本の企業が求める人材は、協調性があって言うことを聞く人間で、これでは新しいアイデアは出てこないし、新しい産業は生まれない」
私はかつて、ソニーの盛田昭夫氏やホンダの本田宗一郎氏に何度も会って話を聞いた。彼らはいずれも、「日本にないモノをどうやってつくるのか。すでにあるモノをつくっていたのでは、より安く売るしかない。これでは企業はやっていけない。何とかして、日本にないモノをつくらねばならないのだ」と強調していた。
そして、本田氏は「失敗賞」なる賞をつくった。失敗したことを表彰するのである。だが、残念ながら現在の多くの企業では失敗が許されず、守りの経営で、これではイノベーションが起きるはずがない。出口氏は「人とは違う、多様な変態を育てて新たな産業で稼げ」と主張している。
※週刊朝日 2019年10月4日号