田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
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イラスト/ウノ・カマキリ
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 ジャーナリストの田原総一朗氏は、「週刊ポスト」で嫌韓特集が組まれた背景を推察する。

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「週刊ポスト」が打ち出した「韓国なんて要らない」という特集が、少なからぬジャーナリスト、学者、作家たちから批判を浴びている。

 毎日新聞(9月4日付)は社説で、

<雑誌が「本音のメディア」であることは否定しない。際どい手法を用いながらも、ゲリラ的に権威や権力に挑むことでジャーナリズムを活性化させてきた歴史はある。

 しかし、今回の特集はそれらと次元を異にする。日本社会の一部にはびこる韓国人への偏見やヘイト感情におもねり、留飲を下げる効果を狙ったのではないか。だとすれば、さもしい姿勢と言わねばならない>

 と、強く批判している。

 また、東京新聞(9月4日付)は「こちら特報部」の中で「分断を助長 メディアの役割か」という見出しを立て、まず、ジャーナリストの青木理氏が「出版不況で雑誌が全体に売れなくなっている状況での『売らんかな』。出版社が嫌韓のジャンルに食い込めば売れると踏んだ。完全に、貧すれば鈍するだ」と切り捨てたことを紹介し、<思想家で神戸女学院大名誉教授の内田樹氏はツイッターに「僕は今後小学館の仕事はしないことにしました。こんな日本では、これから先『仕事をしない出版社』がどんどん増えると思いますけど、いいんです」と投稿。小学館との“決別”を宣言した>と伝えている。

 私も「ポスト」の特集を読んだ。ネットメディアに押されて雑誌が売れなくなっているので、偏向特集との批判を浴びることも、ある程度覚悟して、あえて挑んだのであろう。昨秋、休刊に追い込まれた「新潮45」のケースと似ている。

 毎日新聞や東京新聞の激しい批判はそのとおりだと思うが、9月2日付の日本経済新聞の世論調査の数字を見て、大きな衝撃を受けた。

 日本政府の韓国に対する輸出管理の強化を「支持する」が67%、「支持しない」がわずか19%なのである。そして、日本政府は韓国に「譲歩する必要がない」が67%、「譲歩はやむを得ない」が21%である。

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