鎮火後、京都府警捜査一課と京都市消防局が合同で現場検証を行った。
殺人と現住建造物等放火などの容疑での現場検証。放火犯罪捜査のプロフェッショナルたちが今回の事件捜査にも投入されている。
「いわゆる『アカ』の刑事は捜査一課に所属している。気苦労もかなり多い」(警視庁捜査関係者)
ちなみにアカとは警察用語で放火のことを指す。
放火事件の捜査では現場からの証拠集めに徹する。
「現場の『灰かき』を一日中やる。文字どおり灰になってしまった微物から事件を組み立てていくんだ」(警察庁関係者)
火災で灰になってしまったものから証拠となりそうなものを見つけ出し分析する。着火剤などの成分は、科学捜査研究所などに鑑定を依頼し識別するという。
「着火剤の有無が捜査のポイントになる。着火剤を使うということは立件する際に『殺意があったかどうか』を裏付けることにもなり得るから」(同)
もうひとつの重要なポイントは「実験」だ。
「現場で起こった放火と同じ状況を再現する。つまり全く同じ構造の建物を簡易に造り、同条件での燃焼実験を繰り返すんだ」(同)
客観性をより担保するために大学の研究者などを立ち会わせて意見も仰ぐのだという。導き出された燃焼実験結果に加え、容疑者の人となりの捜査、目撃情報、被害者の司法解剖の結果などを突き合わせ、起訴に持ち込めるように証拠を固めていくという。
青葉容疑者の容体回復を待っているため、取り調べに着手するまで時間を要する見込みだが、ブツから事件の声を拾う「アカ」の刑事たちの地道な捜査は粛々と続いている。(本誌・岩下明日香、羽富宏文/今西憲之)
※週刊朝日 2019年8月9日号