そしてジャニーズ特有の「歌声」。これもまたジャニーさんに見出され・磨かれ・愛されることで生まれたれっきとした「作品(プロダクト)」です。シブがき隊のヤックン、男闘呼組の成田くん、TOKIOの長瀬くん、V6の森田くん、KinKiの剛くん、タッキー、山P、関ジャニの錦戸くん、KAT-TUNの赤西くん、中山優馬くん、Sexy Zoneの菊池風磨くんなどは、「ジャニーズでなければ聴けなかっただろう」と思わせる焦燥感と翳りを帯びています。一方で、トシちゃん、シブがき隊のフックン、少年隊のカッちゃん、光GENJIの山本くん、SMAPの吾郎ちゃん、TOKIOの山口くん、V6の長野くんといった伝統的なアイドル歌唱法(私は「ジャニ声」と呼んでいる)も同様に、ジャニー氏の存在なしには確立されなかったでしょう。いずれも、磨き切る前の少し荒削りな状態を商品化するという手法ですが、もちろんこれにもマニュアルなどないわけで、まさにジャニーさん本人の「性(さが)」の賜物。彼だけに使える魔法と言ってもいいかもしれません。
他にも「世界」や「地球」、そして特に「日本」というテーマに強いこだわりを持っていたジャニー氏。だからなのか、ジャニーズに惹かれるメンタリティーには、日本人ならではの「わびさび」を感じます。故に、昨今の韓流アイドルのように、欧米の文化圏でもジャニーズが受け入れられるのは難しいでしょう。決して「通用しない」と言っているのではありません。長年培われてきたジャニーズ的な奥行きや襞(ひだ)を、仮に欧米仕様に変えてしまったら、それはもう「ジャニーズ的=日本的」ではなくなってしまう。
ジャニー氏が抱き続けた「日本」に対するいじらしいほどの夢と誇り。それこそがジャニーズの絶対性だと私は思います。日本そして日本男子を愛し抜いた日本人、ジャニー喜多川氏に心からの敬意を込めて。
※週刊朝日 2019年7月26日号
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