25年には、IT企業の時価総額ランキングでは米中が逆転するだろう、と多くの専門家は見ている。

 そうした中で行われる米中首脳会談だが、はたしてどうなるのだろうか。そして、日本はどんな役割を演じることができるのだろうか。

 米中、いずれも覇権戦争に躊躇(ちゅうちょ)するはずがない。

 だが、私はもしかすると習近平氏は、今回の首脳会談ではトランプ氏に花を持たせるのではないか、とも推測している。

 トランプ氏の頭の中は、ほとんど来年の大統領選挙でいかにして勝つか、ということで占められている。

 それに対して、習近平氏は終身であり、5年先、10年先を考えることができる。

 おそらく、習近平氏にとっては、ペンス副大統領、あるいは民主党候補が大統領になるよりも、トランプ氏のほうがくみしやすい、と考えているのではないだろうか。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、ホンネではトランプ氏頼みであるように、だ。

 だから、トランプ氏に花を持たせて、大統領に再選された後、習近平氏のペースに巻き込もうと図っているのではないか。トランプ氏が、日本の安倍首相に対して、日米交渉を参議院選挙後まで延ばす、と妥協することで、8月にはトランプ氏のペースで決着をつけようと図っているように、である。

週刊朝日  2019年7月5日号

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