


乗馬を通して交友を深めたご学友、明石元紹(あかし・もとつぐ)さん(85)が、本誌の取材に間近で見た陛下の素顔を語った。
生前退位のビデオメッセージを陛下が公表されたのは2016年8月8日。学友の明石元紹(もとつぐ)さん(85)はその約1カ月前、陛下から自宅に直接電話をもらった。
「電話は、宮内庁の人たちがみんな退席なさった後だと思います。陛下はなぜ退位するのかを、おっしゃっていた。『美智子皇后のことを心配して退位するのではないのだよ』ということと『生前退位というのは、昔の天皇は途中でお辞めになったり、交代したりしていたのだから、いつでも退位できるように今後はルールにして欲しい』ということでした」
明石さんは退位に賛成だったという。
学習院の幼稚園から高等科までの同級生だった陛下と明石さんは、学習院高等科で乗馬部に所属した。
「陛下とは馬に乗って、皇居内の至るところを走り回りましたよ。今考えれば、ぜいたくな話ですけど、宮城を馬にまたがって疾走した。学習院にも馬はいたけど、ひどいのしかいなくてね。皇居には馬がたくさんいましたから。陛下は毎日乗れるし、私たち馬術部の連中も陛下のおかげで、毎日、皇居で練習させてもらいました」
学習院高等科の乗馬部の先生や部員の4~5人と一緒に乗っていたという。
「皇居は今はもう開放されていますが、北の丸公園は私らの馬に乗るエリアでしたからね。たとえば、きょうは本丸公園へ行こうという感じでした。1回乗ると、1時間以上は乗っていましたよ」
卒業後も一緒に乗馬を楽しんだ。
「おもに、スティックで球を打つ団体競技のポロや皇室の古式馬術『打毬(だきゅう)』をご一緒しました。乗馬で一緒に過ごした時間は、私は誰よりも多いと思います。陛下は小さい頃から馬にまたがって、ご修行されていますから、本格的な乗馬の技術を身につけておられますよ。それでもポロでは、落馬したこともありました。それから障害競技でも落っこちたりしていましたね」