ゴーン容疑者(左)の保釈中の逮捕を「暴挙」と批判した弘中惇一郎弁護士 (c)朝日新聞社
ゴーン容疑者(左)の保釈中の逮捕を「暴挙」と批判した弘中惇一郎弁護士 (c)朝日新聞社
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 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者と東京地検特捜部の攻防が一段と激しさを増している。特捜部は4月4日、保釈中のゴーン前会長を会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕した。保釈中の逮捕は異例だ。

 これで4回目となる逮捕について、元検事の郷原信郎弁護士はこう解説する。

「ゴーン氏は無罪になる可能性がかなりあり、無罪になることを恐れて、検察が相当な危機感を持っていると思う。本人の無罪主張を何とかして抑え込み、屈服させたいのではないか」

 逮捕容疑は、ゴーン前会長が中東のオマーンにある日産販売代理店のオーナー側に日産の資金を不正に送金した疑いとされ、主要紙は逮捕直前から、こうした特捜部の捜査動向を詳しく報じていた。

 一方、裁判所が証拠隠滅や逃亡の恐れがないと判断して保釈した人を逮捕したのは「あり得ないことで、強く抗議したい」と記者会見を開いて話すのは、ゴーン前会長の弁護人である弘中惇一郎弁護士。

「起訴されれば被告人と検察官は対等。合理性もなく暴挙。捜査を進めるのに身柄をとる必要はない。身柄拘束で被告人に圧力をかける“人質司法”だと思う」

 報道されているオマーンの販売代理店を巡る疑惑はゴーン前会長が「きっぱり否定している」と弘中弁護士はいう。今後の裁判の準備を進めていたゴーン前会長は、逮捕前日の3日にツイッターで、11日に会見を開いて全部話すと表明していた。弘中弁護士は、今回の逮捕が「結果的に口封じとなり、会見できなくなった」と話している。

 逮捕容疑の特別背任の罪については、特捜部にとって「非常にハードルが高い」(郷原弁護士)とみられている。同罪の成立には、取締役などが自己または第三者の利益を図り、会社に損害を与える目的で、会社に財産上の損害を加えたことが必要。企業法務に詳しい浦上俊一弁護士は「他の財産犯に比べ、図利加害目的で会社に損害を生じさせたことが必要になる」と指摘し、例えば無担保の過剰な融資はこれにあたりうると話している。

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