中国政府の見解を好意的に伝えることを条件に、外国のジャーナリストを無料で中国に招待し、高待遇でもてなしているという。
西側諸国のメディアに対しても、多額の広告費を投入。中国と経済取引のある広告主に圧力をかけ、批判的なジャーナリストや学者には嫌がらせをして、批判的報道を牽制(けんせい)している。さらに、巨大な中国市場へのアクセスも外国企業への圧力として利用し、出版社やウェブサービスに検閲への協力を要請しているそうだ。
国境なき記者団は、中国政府がメディアを「国家のために影響力を行使する産業」とみなし、ジャーナリストを「国家の奉仕者」と位置づけ、「権力の監視役」としての機能を奪おうとしていると指摘する。多くの民主主義国では、独裁的な政治家がジャーナリズムを目の敵にしており、複数のメディアが経済的苦境に立たされている。
皮肉なことに民主主義国でジャーナリズムの力が弱くなったことが、ジャーナリズムをプロパガンダ装置として使う中国のような権威主義国に力を与えているのだ。ジャーナリズムを巡る民主主義国と権威主義国の争いが今後の世界の趨勢(すうせい)を決めるのかもしれない。
※週刊朝日 2019年4月12日号