おなかが空いているだろうと家の外にご飯を置くのもNGだという。野良が寄ってきてしまって、ますます家に寄り付きにくくなる可能性があるからだ。ご飯を用意したいなら、家の中に置くこと。入り口から数十センチでもかまわない。野良猫は警戒して家の中には入ってこないし、愛猫は「やはりここのほうが落ち着く」と、帰る気になるという。

 それでも帰ってこなかったらどうするか。どこを捜せばいいのか。ペット探偵「ペットレスキュー」の藤原博史さん(49)に捜索のこつを聞いた。藤原さんは、困り果てた飼い主の依頼で失踪したペットを捜して20年以上。犬や猫などあらゆる動物を3千件も捜索してきた。

「自宅周辺を念入りに捜索して、それでも気配がない場合は目撃情報を募り、どちら方面へ逃げたかの見当をつけます」

 目撃情報を収集するのに有効なのがチラシやポスターだ。電柱などに貼り紙をしているのを見たことがある人は多いだろう。作製にはポイントがある。

「大切なのは、失踪時に最も近い写真を使うこと。特にキジトラや茶トラ白など、ありふれた毛色の猫は、見慣れない人にはどれも同じに見えてしまう。しっぽの先が曲がっているとか、鼻先にブチ模様があるとか、特徴がわかることが大切です」(藤原さん)

 また、ポスターやチラシには「捜しています」という意思表示の意味もあるという。ねこかつの梅田さんによれば、失踪ペットが見つからない原因のひとつに、誰かに拾われてしまうケースがあるからだ。

 意外な人物が頼りになることもある。その地域の「餌やりさん」だ。餌やりさんとは、公園や自宅庭などで野良猫に給餌をする人のこと。地域の猫たちを把握し、一匹一匹認識しているので、見慣れない猫を記憶している可能性は高い。逃げた猫の特徴を伝え、見かけたら知らせてくれるようお願いしておくと有力な情報が得られるかもしれない。

 藤原さんも梅田さんも頼りにする道具は捕獲器だ。奥にキャットフードなどを入れ、猫が入ると入り口が閉まる仕組み。動物の専門家ではない一般の飼い主にはちょっとハードルが高いかもしれないが、参考までに紹介しよう。

 専門家は1台だけでなく、複数使うこともあるという。もちろん自宅敷地以外にしかけるときは、土地所有者に許可をとることがマストだ。梅田さんは言う。

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