えっ!? いなくなった……愛猫が失踪したとわかった瞬間の、血の気が引く思い。経験した飼い主は少なくないだろう。大切な家族を不幸な目にあわせないためにはどうしたらいいだろうか。いざというとき、猫も飼い主もパニックにならないために知っておきたい、迷い猫の捜し方を“専門家”に聞いた。
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「猫は家を出ても、すぐに遠くへは行きません。野良猫に追いかけられたり、何かに驚いて走りだしたりしない限り、数日間は家の周辺にひそんでいるはずです」
そう話すのは、ボランティアで猫の保護活動と埼玉県の保護猫カフェを運営する「ねこかつ」代表の梅田達也さん(46)。飼い猫を逃がしてしまったら、迅速な対応が必要だという。ちなみに、ねこかつがレスキューに向かうのは、譲渡した猫に限っている。
「逃げた猫を保護するには時間との勝負ですから、24時間対応です」
都会のマンションのみならず、室内飼いがスタンダードになりつつあるいま、飼い主の心配事といえば、猫の脱走。最も多いケースは引っ越しだという。人の出入りも激しく、ドアの開閉頻度も高い。引っ越し先の家から脱走すると元の家に帰ろうにも、土地勘がないので迷子になる。飼い主にも土地勘がないと、右往左往する羽目になる。
来客の多い年末年始も要注意だ。猫に慣れていない人はドアや窓の開閉が不注意になりやすいからだ。
猫が逃げてしまったら、飼い主はどうしたらいいのか。梅田さんによると、まず最初にすべきは、猫がどこから逃げたのかを確認し、逃げた窓なりドアなりを開けたままにしておくことだという。
「猫の性格にもよりますが、出てすぐは興奮していても落ち着きを取り戻したら帰ろうかな、という気になる。そんなとき、出た場所から戻ることが多いんです」
多頭飼育の場合はほかの猫が出てしまわないよう、家の中で隔離しておこう。
逆に、やってはいけないことはヒステリックに名前を呼ぶことだ。心配するあまり、飼い主は大声を出して捜してしまいがちだ。
「焦る気持ちはわかりますが、声に怒りや焦りの気配が混じると、猫は警戒してしまう。呼ぶならなるべく平静を装って、のんきな声で」
飼い主には演技力が必要というわけだ。