そして、皇室が抱える課題も難しい。男系男子という皇統観念にどう向き合うか。皇位継承の先細りをどのように乗り越えるか。皇室側も国民も来年の代替わりで、いわば漂流の時代に入る覚悟をしなければいけないかもしれない。長年見てきた記者の予感です。

 平成は来年4月30日をもって終わり、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が施行されます。

 秋篠宮は「皇嗣」となり、対外的には「クラウン・プリンス」の称号となります。皇太子にのみ許される、「黄丹(おうに)」の袍を着用し、「立皇嗣の礼」で、皇太子の証しである壺切御剣(つぼきりのぎょけん)も授与されます。新嘗祭(にいなめさい)など宮中祭祀でも、皇太子と同様に古装束姿で賢所の殿上で皇祖神に向かう。

 秋篠宮とその長男の悠仁親王が継承者として法的に確定するわけです。

 そのうえで、「過去」の象徴である上皇と上皇后。「現在」の象徴である新天皇、皇后。そして「未来を担う」皇嗣家。その三重奏あるいは三本の矢で、危機を乗り越えていくことになるのだと思います。

(構成/本誌・永井貴子)

※週刊朝日 2018年10月19日号より抜粋