「バカを言うな」とか言われるかと思ってましたが、返事はまったくありません。ただ黙って聞いていました。

──その時には日米地位協定の改定も求めました。

 戦後、基地を押しつけられて、うち27年間は日本から切り離され、その間に日本は高度経済成長したし、東京オリンピックも開催した。私らはドル経済下での生活を余儀なくされ、人権なんてなかった。治外法権です。今の日米地位協定も不平等ですけど、治外法権というのは、法律そのものがない状態ですから。

 それでも、やっと1972年に日本に復帰して憲法のある国になったから、今度こそ基地は半分ぐらい、あるいは3分の1ぐらいになるだろうと思っていたら、とんでもない話でした。

 日本の国土面積の0.6%しかない沖縄に米軍基地が74%置かれ、日米地位協定の改定もなくて、事件が連続して起こっている。そのたびに「県民に寄り添う」あるいは「再犯防止」や「綱紀粛正」が叫ばれますが、それが一つも解決につながらなかったことを県民はよく知っている。

 こんなことにずっと付き合わされる気持ち、実に悲しいです。

──米軍の不祥事は続いています。

 沖縄の人たちは、米軍関係者の事件は被害者の名前で覚えています。6歳の女の子が強姦され、殺害された「由美子ちゃん事件」(1955年)、信号無視の米軍トラックにはねられたのに、犯人が軍法会議で無罪になった「国場くん轢殺事件」(63年)。操縦不能に陥ったジェット戦闘機が小学校に墜落して、11人の児童を含む17人が犠牲になった事故は「宮森小学校米軍機墜落事故」(59年)として覚えられている。

 そもそも米軍の教育がおかしい。米軍は沖縄県民について兵士に説明するとき「論理的というより感情的」と教えている。沖縄の女性を見下していて、これは沖縄県民は「レベルの低い人」で、好き勝手してもいいと言っているようなもの。大変な不条理です。

──沖縄は「基地経済で食べている」との批判も多いが、それについてはどう思いますか。

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沖縄経済は基地中心ではない