私が那覇市長をしていたとき、全国市長会で「沖縄は基地を預かって、振興策をもらえばいい」なんてことは普通に言われましたから。いま「地方創生」が真っ最中ですから、それならどうぞ沖縄の米軍基地を誘致して、振興策に活かしてください、と思いますね。

 基地経済への依存度は、日本復帰直後の72年に15.5%だったのが、2013年度には5.1%にまで低下しました。人口1人当たりの国からの財政移転は全国6位で、1位の県の75%にすぎません(13年決算ベース)。

 事実でもって批判されるならともかく、自分の都合のいいように勝手に解釈して「沖縄はずるい」と言わんばかりの話をされると、「この国は尽くしがいがないな」と思う。

 福島県も同じ。国のために原発を受け入れて、それで事故が起きて大変な被害を受けた。それが5年経ち、被災者の方々が窮状を訴えると「いつまでそんな話をしているの」という雰囲気になっている。日本人は熱しやすく冷めやすい。だからこの国では、先駆けて国に尽くす人たちが損をする。

──翁長知事は、沖縄の自民党に所属する保守政治家として長年活動してきました。過去と現在の自民党の政治家の違いは?

 違いよりも、まず似ているところは「日米安保が国を守っている」と考えているところ。軍事だけでなく、経済も民主主義も、国民の幸せも含めてです。これはリベラル派も含めて、みんな同じ考え方。

 日米安保の恩恵は本土が受けて、そのしわ寄せは沖縄に集中している。その認識が、なぜ日本全体で共有できていないのか。その不満は、小さいころからずっと持っていました。

 95年に米兵3人による少女暴行事件があってから、私は自民党沖縄県連の幹事長として、たくさんの自民党の国会議員と話をしました。当時は冷戦が終わったばかりで、まだ自由主義と共産主義の対立を引きずっていて、私ら沖縄の保守政治家も、自由主義を守るために言えないこともあった。

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翁長氏に土下座をせんばかりに頭を下げた自民党の政治家