「カメラに向かって笑うのって、難しいですね。えっ、今度は後ろ振り返って、カメラ見るんですか? 首、回るかな。私、借金はないんですけどね」
【写真】若宮さんが開発したゲームアプリ「hinadan」はこちら
あはは、おかしい。一緒にいて飽きない、楽しい人。それが若宮正子さん(82)。愛称はマーチャンだ。
「いやあ、私、この1年で人生が激変しましたけれど、別にエライ人じゃないですから。ただの変わり者のばあさんなだけ。皆にマーチャンって呼んでもらうほうがいいんです。敷居の低い感じに、自分で安心します」
確かに、この1年で若宮さんの人生は大きく変わった。60歳からインターネットを学び、81歳でプログラミングを学ぶ。そして2017年2月にゲームアプリ「hinadan」をリリース。キャッチフレーズは「80過ぎのオババが作ったハイシニアが楽しめる雛壇飾りアプリ」だ。
「これね、高齢者の方が楽しめると思うんですよ。だってお雛様の正しい飾り方なんて、若い人はそんなに知らないでしょう? こうやってね、よっ、はっ!」
人形を正しく配置するだけで鼓が鳴り、達成感が味わえる。今までスマホにさわったこともないようなシニアでもすぐに楽しめるこのアプリ開発の功績は高く評価され、6月にはアメリカのアップル本社の世界開発者会議に招待され、世界中から「世界最高齢のプログラマー」として注目された。そして11月末には「今度は国連から、NYの国連本部で高齢化社会とデジタル技術をテーマにスピーチを、という依頼がきてしまったんですよ。最初は冗談かと思いました(笑)」。
ウソか誠か調べてもらったら、正真正銘の演説依頼。
テーマは「Why are digital skills critical for older persons?(なぜデジタルスキルは高齢者にとって重要なのか?)」。
「もう必死で原稿を作って、英訳を手伝ってもらって、なんとか英語でスピーチしてきたんです」
日本時間では本年2月3日。このニュースは国内でも大きく取り上げられた。
若宮さんは訴えた。