累計発行部数62万部を超えるベストセラー漫画『翔んで埼玉』(宝島社)が実写映画化され2019年に公開される。
作中で描かれる埼玉は、東京に行くにも“通行手形”が必要だという設定。「パタリロ!」でおなじみの作者・魔夜峰央氏は、80年代前半の連載当時、埼玉県所沢市に住んでいた。徹底的に自虐的に「ディスる」内容が再評価されヒット。実写映画化につながった。
映画は二階堂ふみとGACKTのダブル主演。魔夜氏は映画化にあたり「ありがたいやら恐ろしいやら」とコメント。二階堂に「映画の中で思い切り遊んでいただけたら」、GACKTに「願ってもないキャスティングですが、人生の汚点にならないことを祈っております」などとエールを送った。
埼玉いじりを楽しむ動きは加速している。埼玉に関する情報サイト「そうだ埼玉.com」を運営する鷺谷政明さんはこう語る。
「埼玉の良さは県民誰もが知っていますが、それは県外の人にはなかなか伝わらない部分。それがわかっているから、誇張しないし、自虐ネタをいくらでも受け入れることができる。良くも悪くも、自虐のある笑いが県民の腑(ふ)に落ちるところなんだと思います」
とはいえ、当たり前だが「悪口を言われるのは嫌」だと鷺谷さんは言う。かつてタモリが言った「ダサイタマ」のように、しゃれっ気がある秀逸ないじりはいいようだ。
映画「翔んで埼玉」に県民は期待を寄せるのか。
「主演の2人はともに沖縄出身で、埼玉とまるでかけ離れているところも面白い。ほとんどの県民が見たい自虐映画になると思います」(鷺谷さん)
“いじられ好き”なのが、埼玉県民の大きな特徴かもしれない。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2018年4月27日号