映像から舞台まで幅広く活躍する風間杜夫さん。最近では「西郷どん」で西郷吉之助の父・吉兵衛を好演。昔から風間さんのファンを公言している作家の林真理子さんが素顔に迫ります。
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林:「西郷どん」(NHK大河ドラマ)で映画「蒲田行進曲」(1982年)トリオ(風間杜夫、松坂慶子、平田満)が共演して、話題になりましたね。
風間:そうですね。あれはNHKの狙いですかね。
林:でもあっと言う間にみんな亡くなっちゃって。
風間:ねえ、もっと出たかったですよ。
林:松坂さんが(西郷)吉之助のお母さん役をするというのも、意外でしたが。「蒲田行進曲」のころの松坂さんって、コワいくらいきれいじゃなかったですか。
風間:今もお美しいですけど、すごかったですね。衝撃的でしたよ。「世の中にこんなきれいな人がいるんだ」と思いました。
林:松坂さんはご自分であのころのことを「前世」とおっしゃってましたが(笑)、今もトップ女優として活躍してらして、すごいですよ。風間さんも年齢を重ねてますます役柄が広がっていらっしゃるし。そういう方、なかなかいませんよ。
風間:「蒲田行進曲」や「スチュワーデス物語」(83年)の教官以降は、二枚目役者のくくりで仕事が来るようになっちゃって、けっこうしんどかったですよ。
林:二枚目役が?
風間:ええ。俺は二枚目でも何でもないのに、そういうイメージで見られてね。それ以前は2時間ドラマとかで、女の人を踏み台にしてのし上がる美容師役とか、だまして殺して埋めちゃう犯罪者役とか、社会から逸脱した役もやってたんですが、そういうのがぜんぜん来なくなって。最近は、「いいお父さん」「味のあるおじいちゃん」という役が来るようになって、うれしくやってます。
林:昔から大好きだった風間さんがどんどんビッグになられて、うれしいですよ。風間さんのファンって私たちオールドファンばかりじゃないですよね。これだけテレビや映画にたくさん出ていらっしゃいますし。