Aさんは小室さんが幼い頃から交流があった。02年に小室さんの父親が亡くなったときも、佳代さんはAさんに、幾度となく涙を見せた。
「夫が亡くなってどうすればいいかわからない。生活も苦しい」
そのAさんは、食事をごちそうし、世話をした。さらに佳代さんはこうも訴えた。
「住む場所もなく、親が借りるアパートに転がり込んでいる。夫の実家とも連絡が取れない」
Aさんは、小室さんの父親の後を追うように亡くなった祖父の遺産相続の交渉を無償で引き受け、交渉相手に手土産なども用意するほど手厚く応じた。交渉はスムーズに運んだが、ことが済むと佳代さんは見知らぬ男性と、Aさんの元を訪ねてきた。お礼です、と茶封筒を差し出し、「遺産交渉から手を引いてほしい」と告げた。
「こちらの親切心を利用されたようで、悔しい思いだけが残りました」