東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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「10勝投手」の価値を証明したDeNA浜口(c)朝日新聞社
「10勝投手」の価値を証明したDeNA浜口(c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、各球団で進む主力選手の契約更改交渉を分析した。

【「10勝投手」の価値を証明したDeNA浜口】

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 12月に入り、各球団の主力の契約更改交渉が進んでいる。スポーツニュースでも連日報じられており、私も注目してしまう。その中で、DeNAのルーキー左腕、浜口が3250万円増の4750万円でサインし、新人王の中日京田の4千万円、西武源田の4100万円を大きく上回った。驚いた方も多いだろう。

 もちろん、金額は推定だが、源田は143試合全試合に出場し、しかも史上初の新人遊撃手の全試合フルイニング出場を達成。京田も遊撃手のレギュラーとして、球団新人記録を更新する149安打を放った。セの新人王投票でも、京田の208票に対し、浜口は27票に終わっていた。

 確かに遊撃手は目に見えない守備への貢献度もあるし、育ちにくいポジションである。はっきり言えば、一塁や三塁よりも、このポジションの選手は打撃面だけではない評価を得ていいと考える。だが、それ以上に今や「10勝投手」の希少価値が高いということなのだろう。

 今季、10勝以上を挙げた投手は両リーグを合わせて20人しかいない。1球団平均にすれば、1人ないし、2人という計算だ。バットを含めた道具の革新が望める打者と違い、投手は自らの肉体を向上させなければ、強い球は投げられない。今後も打高投低の傾向に一層の拍車がかかると予想される。それはメジャーリーグも同じで、メジャーの先発投手はエース格であれば年俸は20億円を超える。それだけ先発投手の希少価値が上がっているということ。日本も同じ流れを感じる。

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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