ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。フェイスブック、グーグル、ツイッターがどれほど「ロシアゲート」に使われたか、津田氏が解説する。
【ロシアゲート疑惑の調査が進み批判が高まっている米トランプ大統領】
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米国では、2016年米大統領選挙へのロシア干渉疑惑──いわゆる「ロシアゲート」の解明に向けた動きが加速している。疑惑の焦点は、ロシアとトランプ陣営とのつながり、そして、米国有権者に影響を及ぼすことを意図したソーシャルメディアを利用した工作活動の二つだ。
後者のロシアによる選挙干渉工作の調査が大きく進んでいる。上下院の特別情報委員会は10月31日、11月1日に公聴会を開き、ソーシャルメディアを利用したプロパガンダやフェイクニュースの拡散といったロシアの工作活動について、インターネット大手3社──フェイスブック、グーグル、ツイッターの法務担当役員に説明を求めた。
3社の証言により、ロシアの工作活動はこれまでに判明していた以上に大規模に拡散していたことが明らかになった。フェイスブックは、プロパガンダやフェイクニュースの拡散などの工作活動を手がける「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」が、ロシア政府の支援を受け15~17年に人種や宗教、移民、銃所持、LGBTなどの問題を利用して、社会の分断を狙った約8万件の記事を投稿していたことを明かした。それらの記事はフェイスブックの広告や一般ユーザーのシェアなどを通じて拡散し、最大で1億2600万人に表示されたという。
ツイッターは、3万7千におよぶロシア系のボットアカウント(機械による自動投稿プログラム)から約140万件のツイートが投稿され、選挙直前の3カ月間だけで2億8800万人の目に触れていた可能性があると証言。さらに、ロシア政府系メディアのRTが190万ドル(約2億円)の広告を購入し、米大統領選期間中だけで27万4千ドル(約3千万円)が費やされていたことを明らかにした。