ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「J-POP」を取り上げる。
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日本独自のポップスが誕生し早50年だそうです。流行歌、昭和歌謡、演歌、アイドル、フォーク、ロック、ニューミュージック、ダンス、Hip Hopなど様々なジャンルが蠢く中、果たして日本人にとって、最も『鉄板』で『どストライク』な音楽、もしくはアーティストとはいったい誰なのか? この世に『絶対』はないとはいえ、ポップス(大衆商業音楽)における必勝パターンは、すでに出尽くしており、あとはそれらの分量と掛け合わせ方、流行り廃りのタイミング、何よりアーティスト本人の有り様(見た目や声も含む)とのバランス次第。今週はJ-POPとやらの最大公約数を探ってみたいと思います。
まずは、【1】哀愁や郷愁を誘い、【2】季節感が明確。【3】あくまでカラオケで歌えるレベルのわび・さびに富んでいて、【4】『独唱』にも『大合唱』にも適している。その一方で、【5】酔っ払うとついていけなくなるぐらいのテンポ感と早口加減も備え、全体的に【6】洋楽っぽさも漂わせることが大事です。さらには、【7】男女問わず共感できる恋愛模様を描き、【8】壮大なバラードで世の中を一律に感動させないといけません。
これで答えは出ました。『ゆず』です。なるほど。どうりで、どこで観てもしっくりくるはずだ。Mステだろうと紅白だろうとオリンピックだろうとヒルナンデス!だろうと。あとは日本の伝統文化でもある【19】ヤンキー的な耽美を身につけ、踊りながら英語で歌えば天下統一です。彼らなら出来る。すでにセカオワっぽい不思議の国系スタイルを打ち出している姿を、私は知っています。いっそ化粧も!
※週刊朝日 2017年8月11日号