子どもを見守る活動をしている者が、逆にその立場を利用して子どもを踏みにじったのが今回の事件の構図だ。未然に防ぐ対処法はあるのだろうか。
危機管理コンサルタントの田中辰巳氏は「事件を未然に防ぐことと、事件が起きてしまった場合、いかに早く対応するか、両方のリスク管理が必要」と説く。
「自宅のプールに子どもを呼び寄せるというのはちょっと尋常ではないと思います。危険を見逃さないよう、日ごろから保護者間で情報交換をしておく必要がある。不幸にも事件に巻き込まれてしまったら、一刻も早く子どもの居場所を見つけなくてはならない。そのためには、例えば認知症のお年寄りの徘徊(はいかい)を防ぐために使われているGPS発信機を、子どもの衣類に付けておく方法も有効です」
逮捕直後、黙秘していた渋谷容疑者だが、事件の一部始終が明らかにされるのだろうか。故国ベトナムの地で、身を硬くして嗚咽している遺族たち。再び失望させるようなことがあってはならない。
※週刊朝日 2017月4月28日号より抜粋