森友問題で窮地に立っていた安倍首相を救ったのは、皮肉にも北朝鮮だ。
弾道ミサイル発射を4月5日に強行した北朝鮮について、安倍首相は米中首脳会談前日の6日、わざわざトランプ米大統領に電話をかけ、「北の脅威の認識共有で一致した」とコメントし、危機に立ち向かう姿をアピール。
そんな矢先、米国が7日、北朝鮮の実質的な同盟国のシリアを爆撃した。
「シリアで神風が吹いた。世論の関心をようやく昭恵夫人から離すことができる」(官邸関係者)
北朝鮮への軍事行動がいよいよ現実味を帯びてきた中、出身派閥の領袖、細田博之総務会長は首相の様子をこう語る。
「首相は森友や昭恵夫人問題になど構ってられないという雰囲気で意気軒昂(けんこう)。日本が戦後、ここまで危機にさらされていることはない。危機を十分認識して対応すべきだ」
だが、元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう分析する。
「シリアと北の攻撃は別問題。北が米国に大陸間弾道ミサイル(ICBM)でも撃ち込めば別だが、米国の北への軍事作戦は意味はなく、現状では可能性は低いでしょう」
政府関係者は首相の心境をこう慮(おもんぱか)る。
「安倍さんは周囲に『習近平はゴルフはしない。俺はスコア90で回れるし、2月には27ホールもトランプと一緒に回ったからね』と自分のほうが米国と仲がいいことを必死にアピールしています。トランプが日本の頭越しに中国とディール(取引)することに神経をとがらせていただけに、米中会談は頭痛の種を増やす結果になりそうです」