棚の奥に手を伸ばし、賞味期限が先の食品を取る。多くの人がやったことがあるのではないだろうか。ここに食品ロスへの落とし穴がある。井出さんは「賞味期限はあくまでおいしさの目安」だという。

「賞味期限は短めに設定されていることが多く、保存方法を守っていれば、多少の日にちが経っても食べられるんです。表面的な数字の羅列だけを見て捨ててしまうのはもったいないですね。目で見て、においを嗅いで、判断するのが大事だと思います」

 買い物をする際に食べ物を無駄にしないためにはどうすればいいのか。

「使い切ることを意識してほしいです。キャベツ4分の1で足りるのに1玉買おうとするとき、本当に必要か、残りを使い切れるか、自問してほしいですね」

 ほかにも注意できる点はある。井出さんが作成した食品ロスに加担しないためのチェックリストを見て、確認してほしい。

「食べ物は人それぞれ好みも違うし、家族構成も違うので、買い物するときはこうしてくださいとは言いにくい部分もあるんです。でも、牛乳1リットルを飲み切るのは日にちがかかるから商品棚の奥から取って、菓子パンは今日食べるから手前から取るなど、無理のない範囲で実行するだけでも変わります」

 では、食品ロス削減を目指す取り組み例を見てみよう。

 まずは、千葉県の渋谷教育学園幕張高校。2014年から「食」をテーマに活動している。同校の小河文雄教頭はこう言う。

「生徒にはグローバルな視点を持ってほしいと考えています。食の問題は自分の生活に直結する問題ですが、まず身近なところから考えることが、グローバルな視点を養うことにつながると伝えてきました」

 同校2年の鵜飼唯香さんは、身近な食品ロス問題に注目し、学校の厨房(ちゅうぼう)から出る廃棄野菜について調べた。学内のカフェテリアのメニューや調理数、販売数、食べ残しの量を1カ月間にわたって調査。「運送段階と消費段階における食品ロス対策案」という論文を書き上げた。この論文は公益財団法人図書館振興財団が主催する「第20回図書館を使った調べる学習コンクール」で奨励賞を受賞した。現在、カフェテリアから出る“無駄”を減らすために生徒たちは新たな取り組みを始めた。

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