「フードウェイスト(食品ロス)ゼロを目指し、コンポストを使って厨房から出る廃棄野菜を肥料にするんです。その肥料で野菜を作って、厨房に提供するという循環型の取り組みです」(小河教頭)
有機野菜を販売している会社の講演が学内であった際、生徒から「いい肥料の作り方を教えてください」と質問が飛んだという。これがコンポスト誕生につながった。
「教員のほとんどは生徒がコンポストを作ろうとしていることを知らず、なんでそんな質問をするのだろうと思っていたのですが、後から取り組みのことを知ることとなり、生徒たちの自主的な行動に驚かされました」
校庭の隅にコンポストを設置し、玉ねぎやにんじん、キャベツなどの廃棄分を入れ、堆肥(たいひ)を作る。生物の先生のバックアップもあり、4月には野菜作りが始まって、その後、特別メニューとして生徒に提供されるそうだ。
農水省の長野麻子報道室長は13年から15年までフードロス担当室長として、食品ロスの解消に取り組んでいた。
「食品ロスによって余ったお菓子を子どもたちに配る場に立ち会ったとき、すごく喜んでくれたんです。世の中に量は足りているのに分配がうまくいっていない。子どもたちの喜ぶ表情を見てどうしようもなく切なくなりました」
そのことをきっかけに、自身の生活の中でも食品ロスについて強く意識するようになった。
「買い物では必要な量の野菜しか買わず、もし余った場合には刻んでスープにするなど、使い切るようにしています。ほかにも、宴会の幹事になったときにはコース料理を頼まないようにしていますね。コースだと食べ残しが出がちなので。残さないように声もかけています」
日本独特の“もったいない”精神を多くの人で共有できれば、食品ロスは減っていくのだろう。
※週刊朝日 2017月3月31日号