と指摘するのは、信頼できる医療・健康情報の見方を一般の人に紹介するサイト「健康を決める力」を運営する中山和弘さん(聖路加国際大学大学院教授)だ。
ネットで調べものをするときは、たいてい、グーグルやヤフーなどの検索サイトにキーワードを入れて探すわけだが、その結果、上位にくるのは、情報の質がよかったり、情報量が多かったりするものとは限らない。なぜなら、検索サイトが独自に決めたアルゴリズムという“計算式”に合致するかで掲載順位が決まるためだ。中山さんは言う。
「アルゴリズムの中身は企業秘密で、定期的に変わります。検索サイトの上位に付けたいサイトの運営側は、費用を投じて“SEO(検索エンジン最適化)対策”を施します。ただ、SEO対策を行っているのは広告収入が必要なIT企業で、公的な機関では業者に委託していない限り、ほとんどやっていないのではないでしょうか。その結果、信頼できるサイト、優良サイトが上位にこないのです」
ウェルクはこのアルゴリズムを攻略し、検索の上位にくることができた。それが結果的に、問題の発覚につながった。医療系サイトの運営に携わったことのあるBさんは、「ウェルクの問題がここまで大きくなるとは思っていなかった」と打ち明ける。
「SEOはある意味、広告と同じようなもので、見てもらうための大切な手段の一つ。医療・健康系サイトに限らず、ウェブサイトをやっている人であれば、アルゴリズムで順位が上がったり下がったりすることに、一喜一憂します」
1ページ目の上位にあったサイトが、アルゴリズムの変更で1ページ目に表示されなくなるということは、よくある話だという。
では、検索で上位にきたサイトのうち、信頼できるものがどれくらいあるのか。それを検証したのが、日本医科大学の医学生だ。大手検索サイトで、「がん治療」「がん 治る」というキーワードを入力。上位にきたサイトの内容を一つずつチェックした。