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 来年創業50周年を迎える芸能事務所・サンミュージック。ここにはじめて日本レコード大賞という栄冠をもたらしたのは、都はるみだった──。

 1973年5月、はるみは他社(コロムビア音楽芸能)からサンミュージックへと移籍してきた。その獲得に9年の歳月がかかったと、福田時雄名誉顧問(86)が明かす。

「創業者の相澤(秀禎氏)がもともと大ファンでした。64年、はるみさんは『アンコ椿は恋の花』がミリオンセラーになり日本レコード大賞新人賞を取りました。その本選のときのはるみさんの歌を聴いて、相澤はそれまでに感じたことのない“気”を感じ、虜になったと言います。こんなすばらしい歌手と一緒に仕事ができないかと願い、“いつかうちの事務所に来ませんか”とラブコールを送り続け、夢をかなえたのです」

“はるみ節”と呼ばれる唸るような歌唱法で、すでにミリオンセラーを含む数々の大ヒット曲を出してきた大物歌手。

 だが移籍後、すぐにヒットが生まれたわけではない。はるみを迎えて3年目、いよいよ勝負というタイミングででき上がった曲は代表曲となった「北の宿から」(作曲は小林亜星氏)。

 作詞家の阿久悠氏が書いた詞に対し、はるみは「これなら演歌っぽい歌い方の人のほうが合うんじゃない」と難色を示したという。

 阿久氏は、新たな魅力や歌唱法を引き出そうとしていたのだが、スムーズにはいかなかった。そして少し時間をおき、唸りを抑えつつ“芯の強い女”をイメージして書き直した。

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