さらに、数年単位で行方をくらますためには、誰かになりすまして生活することが必要という具体的な方法までもが記されている。
失踪の手引と言えそうだが、精神科医の片田珠美氏は「社会に不満を抱く人が多い社会で、こういう本には、メリットとデメリットの両面がある」と話す。
「寺内容疑者のように悪用するケースもありますが、社会から逃げたいという気持ちのときに読むことで、あたかも自分が失踪したかのような疑似体験が得られます。ゲームで敵を倒すことで攻撃衝動を満たせるように、本を読んで失踪を疑似体験することで、現実世界で失踪願望を実行せずにすむこともあるのです」
悪知恵を封じる自衛術をなんとか身につけたい。(本誌・牧野めぐみ)
※週刊朝日 2016年4月22日号
▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼