写真家で映画監督の蜷川実花さんと作家・林真理子さんが対談。それぞれの制作現場の裏話を披露してくれた。
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林:私、2作目の「ヘルタースケルター」(2012年)は見逃しちゃいましたが、初監督作品の「さくらん」(07年)は拝見しました。このごろ成人式で見かける……。
蜷川:アハハハ、すごいですよね。
林:花魁風の振り袖、あれは「さくらん」の影響だと思う。もちろん、似て非なるものですけど。
蜷川:成人式と変身写真館、ショーパブに絶大な影響を与えたみたいで。ちょっと罪深いですね(笑)。
林:あの映画が「花魁はカッコいいもの」としちゃったんですね。土屋アンナさんのヤンキーっぽいキャラクターとも合っていたし、とにかく色彩が美しいし、それにキャストもすごい。何気なく小栗旬さんや小泉今日子さんが出てらしたりして。
蜷川:ブレーク寸前の小栗くんに出てもらって。とにかくいろんな方に出ていただきました。私、写真を撮るのでそこで信頼関係ができていて、「蜷川さんがやるんだったら」と言ってくださる方が多かったですね。
林:蜷川さんが撮ると女の人は美しいし、男はたまらなくセクシーだし。いろんな方が蜷川さんに撮ってほしいと思うの、わかりますよ。
蜷川:プロとして仕事をしている限り、本人よりきれいにカッコよく撮らないと、私がいる意味がないと思うんですよね。だから絶対にきれいに撮るし、絶対にカッコよく撮ると決めてるんです。私、自分のカラーが強いので、「私が、私が」というタイプに見えるかもしれませんが、お仕事するときはそういうことはどうでもいいんです。その人がきれいに見えるということを、いちばん大事にしてます。