写真・図版(1枚目)| 財テク達人の川合俊一「投資とスポーツの共通点」を語る
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 かつてバレーボール全日本主将として日本を沸かせた川合俊一さん(51)。今はタレントとして活躍しているが、実は財テクの達人だ。川合さんは投資とスポーツが似ているという。

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 25歳のころに日本がバブルに突入したんですが、土地もゴルフ会員権も上がってね。傍観してるだけでなく何かしたいと思った。当時は富士フイルムのサラリーマンだったので、100万円くらいの投資ならと思い、友人に便乗して二つ株を買ったんです。思い出に残っているのはLPガス容器をつくっている会社。けっこううまくいき、株は儲かるという良いイメージが定着しました。

 お金は「ためる」というより、仲間と「楽しむ」ために必要なもの。飲んだり食べたり、クラブで豪遊したり(笑)。昔も今も一貫して変わらないのは、「空売り」はしないこと。日本企業の株が下がって喜ぶような投資はしない。

 この考えは、バレーボール選手として「日本代表」を務めたことが大きいかな。投資とスポーツには共通点があって、実はずっと勝ち続けてもおもしろくない。以前のバレーボールも、勝てそうにないアメリカやロシアを相手に挑んだからこそ、楽しかった。だから投資も、負けるかもしれないけど果敢に挑み、「ドキドキ」を味わうためにやっているんです。

 そうは言っても、負け続けてもいけない。仲間と遊べなくなるしね(笑)。

 長く投資をしている人なら、ライブドア事件で痛い目にあってるはずだけど、僕もそう。1日に400万円ずつ損して、億のお金が半分になった。それからようやく挽回したと思ったらリーマンショックでしょ。つらかったー。でも今は、余計なお金を持つと飲みすぎて失敗するぞと、ご先祖様が警告してくれたんだなって思うようになりました。

 ここ数年の相場で、久々に「ドキドキ」を味わいましたね。自分の狙い目は、最大手でなく業界5番手くらい。株価の値動きがいいから。自動車なら三菱自動車。13年の1~5月で株価が倍近くになり、ほかの銘柄も含めて約1千万円の利益が出た。トヨタも持っていて、これは09年から10年にかけて起きた大規模リコールの後に、企業の体質を信じて購入した。結果、回復でしょ。そういう狙いでロケット関連でも少しいい思いをした。13年に打ち上げが中止になった後、関連銘柄がすぐ下がったので、400万円ほど買いました。

 パスをつなげるように、関連を考えるのは大事。

 13年に日本海でメタンハイドレートが広範囲に見つかった翌日は、掘削企業の株が上昇し、翌日にはタンカーの株が上がっていた。こうした“連動”に着目するのも、株の醍醐味ですね。

 昔のバブル時と違って、今は儲かったーっていっても日に数万、数十万のこともある。それでも嬉しい。この、数万でも喜べる能力って、じつは投資にもっとも必要な資質じゃないかな。

 とにかく、誰でも投資する権利があるわけで、とくに今は相場がいいから、投資しないのは、スポーツでいえばオリンピックに出場する権利を持ちながら参加しないようなものだと思っています(笑)。

週刊朝日 2015年1月30日号

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